タワーレジデンス 接遇課対応中

ブラック企業を退職代行で辞めた主人公が、なぜかタワーマンションのコンシェルジュに転職する……という出だしからもうユーモラスで惹きつけられます。

しかも実際はコンシェルジュとして必要とされていない、という違和感があるから、「本当の仕事」が何なのか気になって一気に読ませる仕掛けになっています。

やがて住人のひとりに誘われ、本当の役目が明かされる展開は背徳感たっぷり。仕事というよりも「選ばれた者だけが与えられる秘密の奉仕」という感じで、主人公が特別な立場に立たされていくのが快感でもあり、同時に読者にとっても“非日常の扉を開く”感覚が味わえます。

エロ要素の中心は年上のお姉さんによる濃厚な筆下ろし。厳しい会社で心身をすり減らしてきた主人公が、包み込むような愛情と同時にねっとりとした官能に絡め取られていく流れは、単なるエロではなく「救済」と「ご褒美」が同居しているのが特徴的です。強い女性にリードされる構図も、ハーレムものの王道でありながら大人の色気を強調していて新鮮でした。

全体を通して、ブラック企業での鬱屈から解放され、タワマンという非日常空間で大人の女性に癒され尽くす背徳的ファンタジー。シチュエーションの面白さとセクシー描写の濃厚さがしっかり絡み合った一作でした。